江戸川区葛西 - SNS地域コミュニティ

s君との思い出1


高校生のとき、S君と信州の聖高原へ星の撮影に行ったことがある。

そこは篠ノ井から約1時間ほどの山奥にあり、三脚とカメラ機材を抱えた僕たちは、ようやく目的のバス停に降りた。

真夏の太陽は容赦なく降りそそぎ、のどの渇きを覚えながら、やっとのことでお寺の門を見つけた。そこは「学生村」と呼ばれる民宿群で、学生や研究者を長期に安く泊めてくれる宿泊施設の一軒だった。

熱いお茶をもらいながら受付を済ませ、僕たちは小高い裏山に案内された。星を見るために宿の人が配慮してくれたのだろう、そこはまさしく山寺であった。

お堂を中心にして小さな部屋がいくつか分かれていている。内側のふすまを開けて見ると木造の仏像が安置されていた。夜は絶対に開けるまいと思った。

蝉の声と静かな開放感を味わいながら、僕たちはいつしか寝てしまったらしい。インターホン越しに、さきほど受付をしてくれたおじさんに呼び出された。日はすっかり傾いている。

薄暗い山道をしばらく降りていくと、さきほどの場所に数人の母屋の学生が食事のため集まっていた。

会話もあまり交わさないまま食事を済ませ、宿の人に懐中電灯を借り、僕たちはまた暗い山道を登った。ひっそりたしたお堂は僕たちだけのようだ。

下でもらった魔法瓶のお湯を使い、移動でつぶれてしまったカップヌードルを釜飯の容器で作り夜食にした。



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